2023年11月19日 決勝戦・関東大会 藤井聡太JT杯覇者 対 糸谷哲郎八段|第44回将棋日本シリーズ JTプロ公式戦


情報源: 2023年11月19日 決勝戦・関東大会 藤井聡太JT杯覇者 対 糸谷哲郎八段|第44回将棋日本シリーズ JTプロ公式戦

将棋日本シリーズ決勝と聞くと、いよいよ年の瀬という感じがしますね。竜王戦、倉敷藤花戦も終わってしまい、年内に残っているタイトル戦は女流王座戦のみ。棋戦も達人戦、銀河戦の決勝と、東西対抗戦くらいになってしまいました。

さて本題に。戦型は角換わりの定跡を後手が外しに行ったあたりから既に力戦型の様相を呈しました。となると後手の3三金が次に動く場所が流れを左右しそうです。そして36手目、もう1枚の金が後手玉から遠ざかっていきます。42手目の4三銀を見る限り、3三金は固定して戦う構想のようです。

と思っていたら4筋の攻防に攻撃参加し始め、そして2手かけてまたまた3三に戻りました。会場で見ていたお子さんたちは口をあんぐりさせていたでしょうね。先手は角を4六に打ち、2四と7三の地点に狙いをつけました。

そして2~3筋をめぐる攻防で3三金を上手くさばいて、後手は龍を作ることに成功。そして龍を自陣の守りの要に据え、攻撃は2枚の角に任せつつ、場合によっては玉の上部脱出ルートの開拓もしてもらいう作戦です。

その後は入玉をめぐる激しい攻防が繰り広げられますが、143手目の3八桂がお手本のような退路封鎖。遡ると113手目の3三銀も桂馬の破壊力を生かしたタダ捨てでした。それからずっと1枚の桂馬を温存し続け、最後の最後に投入したわけですが、実は後手も先手同様にずっと1枚の桂馬を温存していました。お互いに切り札を温存することで相手にプレッシャーを与えていたのですね。先手は持ち駒も角、金、桂、香と種類が多く、その分後手も読むべき分岐がより膨大になっていた点も明暗を分けた一因ではないでしょうか。